「なぜかパッティングの距離感が安定しない」「短いパットでも手先が動いてしまう」。多くのアマチュアゴルファーにとって、パッティングはスコアメイクの大きな壁です。
PGAツアーの選手たちが高速グリーンを攻略するために採用する「クロウグリップ(Claw Grip)」は、特殊な握り方ゆえにプロや上級者向けだと思われがちです。
しかし、プロゴルファー永井延宏氏は、クロウグリップはパッティングに悩むアマチュア、特に初心者の方にこそ大きなメリットをもたらすと指摘します。
プロの提言: いわゆるクロスハンドよりもクロウグリップの方が、手先の余計な動きを抑える仕組みとして、より良い結果に繋がりやすいのです [02:27]。
この記事では、あなたのパッティングの常識を覆すクロウグリップのメリットと、あなたに合ったスタイルを見つけるための2つのタイプ、そして最も重要な「正しい握り方」を解説します。
1. 【最重要】クロウグリップの成功を左右する「正しい3ステップ」
クロウグリップを試す際に、多くの人が陥りがちな落とし穴があります。それは、最初からクロウグリップの形を作って構えようとすることです。この方法では、意図せず右肩が下がったり、体の軸が傾いたりして、正しいアライメントが作れなくなってしまいます [00:35]。
成功の鍵は、グリップを握る「順番」にあります。以下の3ステップを守るだけで、クロウグリップのメリットを最大限に引き出すことができます。
ステップ1:通常のグリップで構える

いきなり逆手で握るのではなく、まずは通常のグリップでアドレスを構えます [00:16]。これは、パッティングの土台となる体の軸や傾きをしっかりと整えるためです。
ステップ2:体の軸や傾きを整える

通常グリップで構えた状態で、目標に対して体がスクエアか、体の軸が傾いていないかを確認し、歪みを取り除きます [00:46]。
ステップ3:最後にそっと右手を持ち替える

体の傾きや歪みがないことを確認してから、そっと右手をクロウグリップの形に持ち替えます [00:51]。
この手順を守ることで、体の正しいアライメントを崩さずに、クロウグリップによる手先の抑制というメリットだけを享受できるのです。
2. あなたはどちら?クロウグリップの2つのスタイル
クロウグリップには、右手の使い方や腕の形で大きく分けて2種類あり、それぞれに異なる感覚と利点があります。
スタイル①:ビリヤード型(前腕で「押す」感覚)
まるでビリヤードのキューでボールを突くようなイメージのスタイルです。



特徴 | 効果 |
---|---|
右腕の形 | 肘を少し曲げる [01:00]。 |
動きのイメージ | 前腕がシャフトに対して角度を持つことで、横からの水平運動(前腕で押す動き)が強くなる [01:03]。 |
パット軌道 | 低いテイクバックからのアッパー軌道になりやすい [01:17]。 |
最大のメリット | パターのロフトが効果的に働き、ボールにきれいな順回転がかかりやすくなる [01:21]。高速グリーン(11フィート以上など)との相性が抜群 [01:27]。 |
このスタイルは、クラブに対して横からの力を加えたい、ボールをしっかり順回転させたいゴルファーに適しています。
スタイル②:振り子型(右肩を「支点」にする感覚)
体の大きな筋肉を使って、より安定したストロークを目指すスタイルです。



特徴 | 効果 |
---|---|
右腕の形 | 右手を伸ばし気味(まっすぐ)にして構える [01:35]。 |
動きのイメージ | 右肩を支点とした大きな振り子運動でストロークする [01:40]。 |
最大のメリット | 肩を起点とした動きになるため、手先や手首といった細かく不安定になりやすい筋肉の影響を最小限に抑え、再現性の高いストロークが可能になる [01:40]。 |
有名選手の例 | 世界トップクラスのスコッティ・シェフラー選手が、この振り子型のクロウグリップでプレーしていることで有名 [01:45]。 |
このスタイルは、パッティングの再現性を最優先したいゴルファーに特に推奨されます。
3. まとめ:クロウグリップはパッティングに悩むゴルファーの特効薬
クロウグリップは、手先の過剰な動きを抑え、安定したストロークを生み出すという共通の利点を持っています。そして、どちらのタイプも「低いバックストロークからロフトを活かしてストロークする」という、特に高速グリーンで有効な共通のメカニズムを共有しています [01:50]。
パッティングに苦手意識を持っている方は、「プロの技だから」と敬遠せず、まずはこの記事で紹介した「正しい3ステップ」で構え、ビリヤード型と振り子型の両方を試してみてください。
あなたに合った握り方が見つかれば、きっとパッティングに対する考え方が変わり、スコアアップへの道が開けるはずです。